日本円 / Japanese Yen



新しい通貨単位が圓(えん)と定まり、西洋の技術を導入した近代的紙幣・金銀銅貨の発行が始まりました。

明治通宝、旧国立銀行券、新国立銀行券、改造紙幣(神功皇后)、旧兌換銀行券(大黒)、改造兌換銀行券(藤原鎌足・めがね100円、和気清麻呂・表猪10円、菅原道真・分銅5円、武内宿禰・漢数字1円)、甲号兌換銀行券(藤原鎌足・裏紫100円、和気清麻呂・裏猪10円、中央武内5円)、乙号兌換銀行券(菅原道真・透かし大黒5円/幽霊札)、大正兌換銀行券(菅原道真・横書き20円、左和気10円、大正武内5円)、大正小額紙幣、


世界トップクラスに美しい兌換券シリーズの発行が始まりますが、お金の世界にも第二次大戦の影が忍び寄ってきます。

兌換券(武内宿禰・裏赤200円、聖徳太子・1次100円、藤原鎌足・タテ書き20円、和気清麻呂・1次10円、菅原道真・1次5円)、兌換券甲号1000円(日本武尊)、改正兌換券(藤原鎌足・200円、菅原道真・5円)、不換紙幣(聖徳太子・2次100円、和気清麻呂・2次10円、菅原道真・3次5円、中央武内1円)、改正不換紙幣(和気清麻呂・3次10円、菅原道真・4次5円、中央武内1円番号なし)、改正不換紙幣100円(聖徳太子・3次100円)、再改正不換紙幣10円(和気清麻呂・4次10円)、政府紙幣50銭(富士と桜、靖国神社)、小額日本銀行券(八紘一宇の塔10銭、楠木正成像5銭)



昭和21年(1946)の新円切替以降に発行された我が国の通貨です。ほとんどが現在でも有効な貨幣です。

聖徳太子4次100円、国会議事堂10円、文様5円、二宮尊徳1円、政府紙幣(板垣50銭)、ハト10銭、梅5銭、聖徳太子1000円、岩倉具視500円、高橋是清50円、板垣退助100円


C券:日本銀行券の印刷レベルがようやく戦中・戦後の混乱を脱する。
聖徳太子10000円、聖徳太子5000円、伊藤博文1000円、岩倉具視500円(2次)

D券:福沢諭吉・夏目漱石といった文化人が肖像に選ばれるように。西暦2000年と沖縄サミットを記念する形で、新額面2000円券がお目見え。
福沢諭吉10000円、新渡戸稲造5000円、夏目漱石1000円、守礼門2000円


E券:偽造防止対策は強化されたものの、デザインはいまひとつ。
福沢諭吉10000円、樋口一葉5000円、野口英世1000円

F券:令和改元に併せ、電撃的に発表。令和5年発行予定。
渋沢栄一10000円、津田梅子5000円、北里柴三郎1000円



31:台湾銀行券
Bank of Taiwan note


32:朝鮮銀行券
Bank of Chosen note


33:満洲中央銀行券
Central bank of Manchuria note



41:中華民国/英領香港
For Republic of China/British Hongkong


42:オランダ領東インド諸島
For Dutch East Indies


43:英領マラヤ
For British Malaya


44:米国フィリピン自治連邦区
For Commonwealth of the Philippines (United States)


45:英領ビルマ
For British Burma

46:オセアニア
For Oceania


47:占領下の日本
For Occupied Japan


日本貨幣制度のはじまり

貨幣博物館カレンシアでは、近代以降に発行された貨幣を中心にご紹介していますが、それ以前は一体どうだったのでしょうか?


和同開珎
皇朝銭(日本)
和銅元年(708)発行
我が国最初の流通貨幣として有名で、日本史の教科書に掲載された写真で知っている方も多いかと思います。唐朝発行の「開元通宝」を手本にして発行されたといわれています。

2012 IMF・世界銀行年次総会
「和同開珎」を描いた80円切手と特殊通信日付印の組み合わせ
平成24年10月12日発行(2012)

唐朝にならって貨幣発行に漕ぎつけたまではよかったのですが、朝廷による改鋳が頻繁に行われ、旧銭を受け取った人が損をするような状態が続いたこと、原料の銅が枯渇したことなどが重なり、我が国は再び物々交換経済に戻っていくことになります。

永楽通宝
渡来銭(明朝・永楽6年/1408)
時代が下り、日本が再び貨幣経済を導入したい、と思ったときには、既に鋳造設備は破却されており、貨幣の自国生産は出来なくなっていました。そのため、大陸の歴代王朝に日本製品を輸出し、代金として受け取った銭貨を国内で流通させました。明の永楽通宝は渡来銭の代表的なもので、その人気から戦国時代には織田信長の旗印として使用されました。


寛永通宝
(江戸時代・寛永3年/1626)

17世紀、徳川家康が江戸幕府を開き、ようやく乱世が収まりました。江戸幕府は4進法による通貨制度を整え、渡来銭の使用を禁止しました。(寛文10年/1670)
実に700年ぶりに、日本の自国政府による通貨鋳造が再開されたことになります。

  

千円今昔


(上から順に=(1)E千円券(平成16年/2004)肖像:野口英世、(2)D千円券(昭和59年/1984)肖像:夏目漱石、(3)C千円券(昭和38年 / 1963)肖像:伊藤博文、(4)B千円券(昭和25年 / 1950)肖像:聖徳太子、(5)甲号 千圓券(昭和17年 / 1942)肖像:日本武尊 ※使用開始は昭和20年/1945)


 我が国に「千円札」が誕生して70年になります。今でこそ、子どもの小遣い程度の金額になってしまった千円ですが、甲号千圓券が計画・製造された戦前ではとんでもない超高額券でした。そのため、戦時中だったにもかかわらず、その価値に見合うように巨大な用紙に豪華絢爛な印刷が施されました。
 敗戦後のハイパーインフレと新円切替により、甲号 千圓券はたった半年で廃止され姿を消しました。昭和25年にB券が発行されましたが、印刷技術の水準はそれほど高いものではなかったため、昭和30年代に偽札事件を惹起することになりました。C券は「 #福沢諭吉 」の肖像彫刻で有名な印刷局技芸官、押切勝造が伊藤博文の肖像彫刻を手掛け、上質な用紙に凹版印刷・平版印刷による多色刷りを施した非常に美しい券となりました。
 昭和50年代に入り、カラーコピー機の普及による偽造防止と、自動販売機など機械による紙幣の取り扱いをしやすくするためD券が発行されました。カラーコピーしても色合いが正しく再現できずおかしな色になってしまう技術や、肉眼では見えませんが、磁気を帯びたインクが使用されており、特殊な装置で検知できるようになっています。
 21世紀となると、一般家庭にも高性能なパソコンやイメージスキャナが普及し、普通の市民が気軽に通貨偽造犯罪に手を染めてしまう「カジュアルコピー」が問題となったため、既存の防止技術に加えて、オムロンリング、潜像、深凹版印刷といった最新の偽造防止技術を搭載したE券が発行されました。

 このように、70年間の間にその時々の社会情勢・経済情勢に応じて、千円札は改良を重ねてきました。E券が発行されて14年が経過しましたが、次の「F券」はどんなお札になるのか、楽しみですね。


急激な円安で外国紙幣が買いづらい…つらい…

  • 明治維新にあたり、我が国の通貨単位は「円・銭・厘」と改められました。明治3年(1870)から昭和20年(1945)まで。

    旧円 / Old Yen

  • 昭和21年(1946)の新円切替以降に発行されたお金です。現在も有効なお金として使えるものがほとんどです。

    新円 / New Yen

  • 軍隊が占領地等で物資補給するために発行した代用貨幣です。旧日本軍のものを中心にご紹介します。

    軍用手票 / Military Notes